当該年度におけるタフポリマーの成形加工による高次構造制御と破壊挙動解析のために,それぞれ3つのテーマに対して,下記の大きな目標を建てた.
A:プラスチックの高タフネス化の基礎研究
より高靱性な材料を開発するには,まずは未解明となっているポリマーの劣化,脆化,破壊機構を
明らかにする必要がある.そこで
●電解質膜の精密構造と力学特性評価,破断面観察
●ポリメタクリル酸メチル(PMMA)およびロタキサン変性PMMA樹脂の力学特性
それぞれの基礎的な物性の基礎検討を行った.
B:新規プロセス制御による構造制御とポリマー材料のタフ化
本グループがこれまで検討してきたプラスチック成形加工技術を活かし,各種部材の高タフネス
化のためのプロセス開発を目的とする。本年度は,
●エレクトロスピニング法によるポリマー溶融体または溶液からの多孔膜形成の可能
性を検討した。さらに,高せん断加工機によるナノアロイ化の基礎検討を行った。
C:新たなポリエチレン系の多孔質セパレータの開発
多孔体膜の強度アップを目指して、設計指針を構築するため、ポリエチレンの分子量と強度の相関
を明らかにすることを目指した。
当該年度におけるタフポリマーの成形加工による高次構造制御と破壊挙動解析のために,それぞれ3つのテーマに対して,下記の大きな目標を建てた.
A:プラスチックの高タフネス化の基礎研究
電解質膜に対して,膜厚の異なる(25および50μm)の小角・広角X線散乱による解析を行った.また,同時に,力学測定においては,室温下(32%湿度)での一軸引張り試験を行い,応力・ひずみの関係を調べた。さらに短冊状試料に,ノッチを負荷して,その亀裂の伝播の様子および応力・ひずみ特性を調べた。さらにPMMAおよびロタキサン変性PMMAの相違を調べるために,力学特性を計測した.
B:新規プロセス制御による構造制御とポリマー材料のタフ化
ここでは,混練押出条件,ブレンド配合比を調節しながら,特殊スクリュを利用し,せん断条件(混練温度,時間,回転数等)による,ロタキサンの微分散を試みた。さらに,光散乱法を用いて分散性を評価することを目指した.
C:新たなポリエチレン系の多孔質セパレータの開発
超高分子量ポリエチレンを利用したナノファイバーの作成を行った。エレクトロスピニングを超高分子量ポリエチレンに適応するために、装置の作成、溶液、条件などの探索を行い、作製したフィルムの表面構造を明らかにすることを試みた。